地元の女友だちが、5年来付き合った彼と別れたということで、彼の
一人暮らしの家(D宰府)に置いてある彼女の荷物を引き取りたいと
愛すべき故郷・T名からやってきた。
彼が会社に行っている間に合鍵で忍び込み、荷物を全てまとめて
そこから直接自分の家に発送してしまうという。


あたしはその荷物マトメの手伝いに駆り出されたのだが、その内容が
すごい。
レコード・ミキサー・服・食器・・・・・・ 枕・毛布・ソファー・ベッド!
なんでそんなものが彼女の私物でありえるのかが本当に謎だけど、
あたしたちは淡々と作業を進め、ダンボール箱に詰め込み、最終的に
大量の悲しい粗大ゴミたちは佐川急便の方々によって無事に引き取られて
行った。


それでも気がすまない彼女は、自分が購入した調味料を次々にトイレに
流し、冷蔵庫の中のジュースをあたしに飲ませ、洗面台にあった
開封したての歯ブラシを新しい女のものだと早とちりし、それと
彼の歯ブラシを使い、ご丁寧にも台所の排水溝+トイレ掃除までこなし、
それらを何事も無かったように洗面台の所定の位置に戻していた。
そして、「今日あいつらあの歯ブラシで歯磨くとばい。ざまーみろ」
とほくそえみ、あたしもなんとなくほくそえんだか否か。


後から判明したことだけど、疑惑(とトイレ)まみれの歯ブラシはどうやら、
彼の会社の先輩(益荒男)のものであったらしい。